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ぺちゃんこハンマー

ぺちゃんこハンマー

衝撃的な形に…!
みなさん、こんにちは。
三浦ピアノです。
本日は、ピアノの"ハンマー"についてお話したいと思います。
まず、ピアノの"ハンマー"とは、どこのことかといいますと…
上の画像がグランドピアノ(赤色の枠で囲った部分がハンマーヘッド)、下の画像がアップライトピアノ(黄色の枠で囲った部分がハンマーヘッド)の内部の模型です。

グランドピアノとアップライトピアノは、ハンマーの付いている向きが違いますが、いずれも、木材でできた芯材に、フェルトをぎゅぎゅっと圧縮して巻き付けたものです。

ピアノが音を出す仕組みは、ざっくりいうと①ハンマーが②弦を打って、振動を起こし、その弦の振動が③駒を通して④響板に伝わり空気を震わせることで、音として再生されます。
※下記の図はYAMAHAのホームページよりお借りしました
ハンマーの理想的な形は、きれいな卵型。
つまり、弦に当たる部分は先っぽだけ。
弦に当たる面積が広いと、弦の振動を阻害し倍音がきれいにでなくなってしまいます。
まずは、健康なハンマーをご覧ください。
きれいな卵型ですね。
続きまして、記事タイトルの"ぺちゃんこハンマー"
えっ・・・!?(゚д゚)!(゚д゚)!
寄ってみましょうか!?
見事なまでにぺちゃんこ…。
通常のハンマーと並べてみましょう…
ピアノを長く使っていると、ハンマーに弦の跡がついてしまうというのは、皆さんも聞いたことあるのではないでしょうか?
ピアノの弦(正しくは、ミュージックワイヤー)は、炭素鋼という金属でできています。
固い金属をフェルトで叩き続けるので、だんだん跡が付くだけでなく、全体的に押し固められ、先端が平らになってきてしまいます。

こちらのハンマーは、長年の使用で完全に押しつぶされてしまっています。
カチカチに押し固められ、弾力を失い、もはやピアノの音ではなく「バシャバシャ」「ゴンゴン」という音になってしまい、強弱もつかない状態でした。
そりゃそうです、本来はハンマーの先っぽで繊細に弦に当たるはずが、何倍もの面積でバシャーンと弦を打つのできれいな音が出るはずがないのです。
すり減って、押しつぶされて、本来のサイズよりもだいぶ短くなってしまっていますね。
一般的に使い込まれて先端がやや平らになってきたというレベルであれば、"ハンマー成形(ファイリング)"という手段があります。
やすりを使ってハンマーの形をきれいに整える、ごく一般的な手法です。
ただ、先端だけを削れば良いのではなく、ハンマー全体の形を整えるため、元のハンマーよりも削った分ハンマーが小さくなります。
そのため、ハンマー成形を何度も繰り返すことはできません
今回のハンマーのようにここまでぺちゃんこになってしまうと削る余地がなくなってしまうため、ハンマー交換しか手段がありません。
こちらのハンマーも成形された形跡がありましたが、やはりもともとハンマーの小さい高音部は特にとても小さくなってしまっています。
今回、こちらのピアノのハンマーは全て新品に交換しました。
ピアノの音がよみがえり、とても弾きやすくなったと思います。

~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~


皆さんのピアノは健康でしょうか?
「しばらく調律していないな…」という場合、調律が狂うだけでなく、内部にほこりがたまったり、湿気を吸って動きが悪くなったり、いろいろと具合が悪くなっているかもしれません。(どのピアノにも起こることですので心配しないでください)
毎年調律をしている場合でも、長年使われているピアノは、あちこちヘタリが出てきて本来の響きを失っているかもしれません。
ピアノは定期的にきちんとしたケアをしてあげれば、一生を共に過ごせる楽器です。
持ち主が慈しめば、ピアノも応えてくれます。
放置してしまった期間が長ければ長いほど、ダメージは蓄積されていきます。
思い立ったが吉日、この記事を読まれて「あれ、うちのピアノいつ調律したんだっけ…?」と少しでも思われたそこのアナタ!
「こんなこと相談できるのかな…」と悩まれている方も、ぜひお気軽にご相談下さい。
お電話またはメール(ホームページの➤お問合せより)にて承っております。