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グランフィール弾けます!

グランフィール弾けます!

アップライトピアノの運動性能がグランドピアノ並みに上がる!
みなさん、こんにちは。
三浦ピアノです。
本日は、お客様のピアノにグランフィールを取付しております。
さて、弊社では中古ピアノにグランフィールをセットしたピアノの販売はもちろんのこと、お客様のお宅のピアノへの取付も承っております。

お客様のお宅のピアノへ取り付ける場合の大まかな流れは、
(1)お客様のお宅へピアノの内部アクションを引取りに伺います
(2)弊社へ持ち帰り、グランフィール取り付けを行います
(3)お客様のお宅へ、グランフィール取付が完了した内部アクションをお届けいたします

弊社の場合、まず1日目にお客様のお宅へピアノの内部アクションをお預かりに伺う際には、ただお預かりするのではなく、1日がかりでお客様のピアノを調整いたします。
ただ単にお預かりするだけではないのです。
グランフィールの機能を最大限に発揮させるには、土台となるピアノの健康状態が良好であることがとても大切なポイントとなります。

「毎年調律しているんだけどな?」と思われるかもしれません。
ピアノの中身は、木材やフェルトなど、温度・湿気の変化の影響を受ける素材が多く使われています。
そのため、四季のある日本では1年を通してピアノの内部も大きく動きます。
実際には、「鍵盤が下りたまま上がってこない」など、演奏に支障が出ていない限りは調整がずれていてもピアノは演奏できてしまうので、お客様ご自身がその変化に気づく機会はあまりないかもしれません。
よほど状態が悪くない限りお客様のご希望がなければ、作業時間や料金が大きくかかる作業を調律のたびに毎回勧める調律師はあまりいないと思いますので、全体のバランスはとりつつも、長年の歪みや小さな調整のずれが積み重なってしまっていることも多く見られます。
弊社では、グランフィールを取付する前に、そういった歪みや調整のずれを修正するところから作業を始めます。
実際にこの作業を終えて時点でお客様にご試弾いただくと「ピアノがとても弾きやすくなった!」というお声をたいへん多く頂戴します。
つまりは、アップライトピアノそのものの性能だって、きちんとした調整を施せばある程度は上がるということです。
その上で、グランフィールをつけるとアップライトピアノの限界を超えることができる、ということになります。

”アクションをお預かりする”とさらりと書きましたが、実際にどういう状態になるかといいますと…
弊社のスタジオのピアノを使ってご説明いたします
まずはピアノの外装を開けていきます。
まずは上前板を外します。
続いて鍵盤蓋
そして鍵盤押さえ
ピアノのアクションは、この大きな黒いつまみ=アクションボルトナットでピアノのフレームに取付されています。
ピアノのサイズに依りますが、両端に1か所ずつまたは真ん中にもう1箇所ついています。
こちらのアクションボルトナットを外していきます。
アクションボルトナットが外れると、アクションを外すことができます。
外れました。
一般的には、このように鍵盤だけ残した状態でアクションをお預かりします。
ちなみに、鍵盤も外れます。
少し話が横道にそれますが、鍵盤について少しお話しますね。
鍵盤にはブッシングクロスというパーツがあります。
真ん中がバランスブッシングクロス、手前がフロントブッシングクロスです。
鍵盤がセットされていると見えませんが、真ん中にバランスピン・手前にフロントピンがあり、これらの金属ピンを軸にして鍵盤がシーソー運動をしています。
ブッシングクロスは、このピン(金属)と鍵盤(木部)の間のクッション材の役割をしています。
下記の画像は、鍵盤が2本並んだアクションモデルの手前側の鍵盤を外したものです。
鍵盤の真ん中あたりと、手前側にピンが立っているのが見えますか?
こちらは、アクション模型の全体写真です。
鍵盤は手前を下げると奥が上がり、その先のからくりが動いてハンマーが弦を打ちます。
長年使用しているとブッシングクロスが摩滅していき、クロスが減ってしまうと鍵盤がガタガタになり、コントロールがしにくくなってしまいます。
それだけたくさん弾かれてきたということですので、ピアノの持ち主様が長年しっかりと練習してきた証です。
ブッシングクロスの貼替は、基本的に鍵盤をお預かりしての修理となりますので、どうしてもピアノが弾けない期間ができてしまいます。
グランフィールの取付中も鍵盤だけ残っていてもピアノは弾けないので、「せっかくなら一緒にやってほしいな」というご希望がございましたらご相談いただくこともできます。
さて、お話が横道にそれてしまいましたが、お客様のお宅でアクションの調整を終えたところでピアノ本体と鍵盤は残して、アクションのみお預かりします。
持って帰ってきてから、お掃除をします。
ピアノって意外と隙間の多い楽器なので、ほこりがたまりやすいのです。
グランフィールの取付は、
・ショットアンドドロップスプリングの取付
・レペティションスプリングの取付
・とあるパーツの加工(企業秘密と開発者である藤井ピアノサービスさんから言われていますので、公開はご容赦ください。)
です。
全て手作業で行いますので、構造に対する理解の深さと取付経験の豊富さが仕上がりの良し悪しに直結します。
ただただ何も考えず台数をこなすのではなく、それぞれのピアノに合わせた取付ができるのか?が仕上がりのタッチ感に大きく影響します。
取付作業自体は数日で終了しますが、弊社はシーズニングを行いアクションを落ち着かせた上でお届けしておりますので、お預かり日数はだいたい10日~2週間ほどになります。
いよいよお届けの日。
この日も、ただ設置して終わりではありません。
ピアノ本体にアクションを戻し、取付した各スプリングの調整をしてから調律を行います。
調律をしながら、グランフィールがちゃんと機能しているか確認をします。
調律が済んだ時点でいったんお客様にご試弾していただいて、ご意見を伺いながらさらに細やかな調整を行います。
お届けの日も、だいたい5~6時間の作業となります。
お客様とご相談しながら、お客様に合わせた理想のタッチに仕上げていきます。
三浦ピアノでは、渋谷店にて常時グランフィールの見本を展示しています。
ピアノがご成約となった際に、入替のタイミングが合わないとご用意が遅れてしまうことがございますので、展示状況はお問い合わせいただければ幸いです。

皆様のご来店を心よりお待ちいたしております!

ぺちゃんこハンマー

ぺちゃんこハンマー

衝撃的な形に…!
みなさん、こんにちは。
三浦ピアノです。
本日は、ピアノの"ハンマー"についてお話したいと思います。
まず、ピアノの"ハンマー"とは、どこのことかといいますと…
上の画像がグランドピアノ(赤色の枠で囲った部分がハンマーヘッド)、下の画像がアップライトピアノ(黄色の枠で囲った部分がハンマーヘッド)の内部の模型です。

グランドピアノとアップライトピアノは、ハンマーの付いている向きが違いますが、いずれも、木材でできた芯材に、フェルトをぎゅぎゅっと圧縮して巻き付けたものです。

ピアノが音を出す仕組みは、ざっくりいうと①ハンマーが②弦を打って、振動を起こし、その弦の振動が③駒を通して④響板に伝わり空気を震わせることで、音として再生されます。
※下記の図はYAMAHAのホームページよりお借りしました
ハンマーの理想的な形は、きれいな卵型。
つまり、弦に当たる部分は先っぽだけ。
弦に当たる面積が広いと、弦の振動を阻害し倍音がきれいにでなくなってしまいます。
まずは、健康なハンマーをご覧ください。
きれいな卵型ですね。
続きまして、記事タイトルの"ぺちゃんこハンマー"
えっ・・・!?(゚д゚)!(゚д゚)!
寄ってみましょうか!?
見事なまでにぺちゃんこ…。
通常のハンマーと並べてみましょう…
ピアノを長く使っていると、ハンマーに弦の跡がついてしまうというのは、皆さんも聞いたことあるのではないでしょうか?
ピアノの弦(正しくは、ミュージックワイヤー)は、炭素鋼という金属でできています。
固い金属をフェルトで叩き続けるので、だんだん跡が付くだけでなく、全体的に押し固められ、先端が平らになってきてしまいます。

こちらのハンマーは、長年の使用で完全に押しつぶされてしまっています。
カチカチに押し固められ、弾力を失い、もはやピアノの音ではなく「バシャバシャ」「ゴンゴン」という音になってしまい、強弱もつかない状態でした。
そりゃそうです、本来はハンマーの先っぽで繊細に弦に当たるはずが、何倍もの面積でバシャーンと弦を打つのできれいな音が出るはずがないのです。
すり減って、押しつぶされて、本来のサイズよりもだいぶ短くなってしまっていますね。
一般的に使い込まれて先端がやや平らになってきたというレベルであれば、"ハンマー成形(ファイリング)"という手段があります。
やすりを使ってハンマーの形をきれいに整える、ごく一般的な手法です。
ただ、先端だけを削れば良いのではなく、ハンマー全体の形を整えるため、元のハンマーよりも削った分ハンマーが小さくなります。
そのため、ハンマー成形を何度も繰り返すことはできません
今回のハンマーのようにここまでぺちゃんこになってしまうと削る余地がなくなってしまうため、ハンマー交換しか手段がありません。
こちらのハンマーも成形された形跡がありましたが、やはりもともとハンマーの小さい高音部は特にとても小さくなってしまっています。
今回、こちらのピアノのハンマーは全て新品に交換しました。
ピアノの音がよみがえり、とても弾きやすくなったと思います。

~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~・~♪~


皆さんのピアノは健康でしょうか?
「しばらく調律していないな…」という場合、調律が狂うだけでなく、内部にほこりがたまったり、湿気を吸って動きが悪くなったり、いろいろと具合が悪くなっているかもしれません。(どのピアノにも起こることですので心配しないでください)
毎年調律をしている場合でも、長年使われているピアノは、あちこちヘタリが出てきて本来の響きを失っているかもしれません。
ピアノは定期的にきちんとしたケアをしてあげれば、一生を共に過ごせる楽器です。
持ち主が慈しめば、ピアノも応えてくれます。
放置してしまった期間が長ければ長いほど、ダメージは蓄積されていきます。
思い立ったが吉日、この記事を読まれて「あれ、うちのピアノいつ調律したんだっけ…?」と少しでも思われたそこのアナタ!
「こんなこと相談できるのかな…」と悩まれている方も、ぜひお気軽にご相談下さい。
お電話またはメール(ホームページの➤お問合せより)にて承っております。

グランフィールって知ってる?

グランフィールって知ってる?

みなさん、こんにちは。
三浦ピアノです。
本日は弊社でもお取り扱いしておるグランフィールについてご紹介いたします。

弊社は、一般の楽器店の中では関東圏で一番早く取り扱いを開始したお店ですので、その分取付実績も多くございます。
渋谷店に見本も展示しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【グランフィールとは…】
鹿児島県にあるピアノ店"藤井ピアノサービス"の藤井社長が考案し、2010年に実用化された、アップライトピアノに後付けできる機構です。
その名の通り、アップライトピアノにグランドピアノ並みの運動性能を与える、画期的な考案です。
日本国内だけでなく海外でも特許を取得され、2013年にはグランフィールを最初から搭載した新品のアップライトピアノ"グランフィールピアノ Gf01Wn"が発売されました。
Gf01Wnはその後モデルチェンジを重ね、現在はGf10Wnというモデル名で販売されております。
弊社では、ヤマハの背の高さ131cmのモデルにグランフィールをセットし、展示いたしております。

【アップライトピアノとグランドピアノの違いとは?】
それこそ見た目からして異なりますが、内部構造(アクションと呼びます)が大きく異なります。
~アップライトピアノのアクション模型~
~グランドピアノのアクション模型~
大きな違いとして、アップライトピアノはハンマーが縦についていて、グランドピアノは横に寝ていますね。
このハンマーの向きの違いから、運動性能に差が出ます。

ハンマーが下から上に動くグランドピアノのハンマーは、打弦後、自重で素直に下りてくることに加えて、アップライトピアノにはないレペティションレバーという部品のおかげで、ハンマーが素早く次の打弦の準備ができます。
対して、アップライトピアノは手前から奥に動くため、打った後戻ってくるのが重力を味方にしているグランドと比べて遅いのです。

そのような構造の違いから、よく言われる【同音連打】に大きな差が出ます。
1秒間にできる同音連打の回数は、グランドピアノは14回・アップライトピアノは7回です。
数字にすると倍の差になります。

弾き心地で表すならば、
グランドピアノは鍵盤を一番底まで押してから、だいたい1/3くらい、体感ではちょこっと力を抜いたくらいで同じ鍵盤を弾くこと(連打)ができます。
アップライトピアノは鍵盤を一番底まで押してから、ほぼ一番上(元の位置)まで戻さないと同じ鍵盤を弾くこと(連打)ができません。

グランドピアノの方が圧倒的に指の動きに鍵盤が追従してくれるのです。
つまりは、連打性能だけではなく、繊細なピアニッシモのコントロールのしやすさや、トリルの細やかさに差が出て、最終的にはピアノ全体の楽器としての表現力の差につながります。
同音連打の話に戻りますが、グランフィールのついたアップライトピアノは1秒間に13回の同音連打が可能と言われています。
ほぼグランドピアノと同じですね。

「先生のところのグランドピアノではできるのに、自宅のアップライトではできない…」そんな動きもグランフィールが付くと断然やりやすくなります。
それは、同音連打だけではなく、通常のアップライトピアノでは出しにくかった"ピアニッシモ以下の小さい音"が出しやすくなったり、ピアノ全体の表現力向上につながります。
鍵盤のコントロールがしやすくなるということは、演奏者の思いを音に乗せやすくなるということではないでしょうか。
それがグランフィールの最大のメリットだと弊社は考えています。



【中身はどうなっているの?】

では、一般的なアップライットピアノの中身と、グランフィール付のアップライトピアノの中身を比較してみましょう。

<1枚目:一般的なアップライトピアノ & 2枚目:グランフィール搭載のアップライトピアノ>
~一般的なアップライトピアノ~
~グランフィール搭載のアップライトピアノ~
ううーん、わかりにくいですよね……

では、拡大していきましょう。
まず、新たなバネが2種類追加されていまして、それぞれ88本(すべての鍵盤数)ずつ取り付けます。
ショット&ドロップスプリングと、レペティションスプリングといいます。

まずは、
<ショット&ドロップスプリング>
音の立ち上がりがクリアになって伸びやかに♪

ハンマー静止時→打弦時の写真です
↓(普通のピアノには付いていませんね)↓
ショット&ドロップスプリングは、ハンマーが弦に接する時間を短くするために取り付けます。

グランドピアノは下から上にハンマーが動くので、戻ってくるのは重力に従って一瞬ですが、アップライトピアノは手前から奥への動きなので、グランドピアノに比べてハンマーの戻りが遅い=弦に接している時間が長いのです。
弦に接している時間が長いと、弦の振動を阻害してしまい、倍音が発生しにくくなってしまいます
この、ショット&ドロップスプリングは、打つ瞬間にハンマーの柄の部分が当たるので、弦に当たる速度も離れる速度も上がるので、音の立ち上がりがクリアになります。

続きまして、
レペティションスプリング
素早い同音連打や、細かい表現がしやすくなります♪

ハンマー静止時→打弦時の写真です
↓(こちらも、普通のピアノには付いていません)↓
レペティションスプリングは、鍵盤(正確にはハンマー)のコントロール性をあげるために取り付けます。

こちらのレペティションスプリングは、スプリング単体で働いているわけではありません。
ただこのスプリングを取り付ければ良いのではなく、とある部品に加工を行います。
(部品への加工については、企業秘密と開発者である藤井ピアノサービスさんから言われていますので、こちらのブログでの公開はご容赦ください。)
その部品への加工プラス、レペティションスプリングの取付を行うことで、ピアニッシモ以下の繊細な音を出したいとき、細やかなトリルを正確に表現したいとき、音切れすることなくレガートで演奏したいときなど、一般的なアップライトピアノではコントロールが難しかった動きが、とてもやりやすくなります。
手の筋肉への余計な負荷もかかりにくくなります。

これらのスプリングの取付や部品への加工は、全て手作業で行いますので、構造に対する理解の深さと、取付経験の豊富さが仕上がりの良し悪しに直結します。
ただただ何も考えず台数をこなすのではなく、"それぞれのピアノに合わせた取付ができるのか?"が仕上がりのタッチ感に大きく影響します。

弊社は、関東の一般取扱店の中ではいち早く取付技術研修を受け、その分多くの取付を行ってきております。
店頭でのグランフィール付のピアノ販売だけでなく、お客様のお手持ちのピアノへのお取り付けも数多く承ってきました。
お客様の大切なピアノに手を加えることに、抵抗のあるお客様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、グランドピアノとアップライトピアノでは、構造の違いからどうしても超えられない壁があります。
こちらのブログを見つけてくださったお客様は、その壁でお悩みなのかもしれません。
「アップライトだし、仕方ないかも」「気のせいかも」と思わず、些細なことかもしれないと思っても、お気軽にご相談ください。
弊社はスタッフ全員技術者ですので、やみくもに購入を勧めるのではなく、お客様のお悩みの原因を探り、本当にグランフィールが必要なのか、お客様のお悩みはグランフィールで解消されるものなのか、きちんとお話を伺わせていただければ幸いです。
なんでもかんでも「グランフィール付けましょう!」とはお勧めしませんので、ご安心ください。
皆様のご来店を、心よりお待ちいたしております。
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東京で中古ピアノ&新品ピアノをお探しなら、三浦ピアノへお任せください♪
文京区本郷に工房、渋谷区渋谷にレンタルスタジオ併設のショールームを構え、
1925年の創業から、2025年で100周年を迎えました。
皆様のご愛顧に、深く感謝申し上げます。
ヤマハ、カワイ、ベヒシュタイン特約店、その他メーカー複数取り扱い可能♪
消音ユニット取付、グランフィール取付も承り中です。
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vivace(ビバーチェ)ってなんだっけ?

vivace(ビバーチェ)ってなんだっけ?

こんにちは!
三浦ピアノです。

水曜の夜、ドラマ「リバーサルオーケストラ」を観ていてふと思ったので筆を執りました。


こんなマイナーなブログを目に留めてくださるそこのあなた様は、きっと無類のピアノ好きさんや音楽好きさんのはず!

リバーサルオーケストラ観てますよねっ???


はい、本題に入りますね。

一昨日の第三話。

冒頭でオーケストラの大黒柱であるティンパニの演奏者さんが退団してしまい、本番まであと僅かな児玉交響楽団のメンバーはピンチに。

田中圭さん演じる指揮者の常葉朝陽が、門脇麦さん演じるコンサートマスターの谷岡初音に「ティンパニに藤谷耀司をスカウトしてこい」と命じます。


命じられた谷岡初音の背景には"vivace"の文字が。


それを見た私の家族が「ねー、vivaceってなんだっけ?」と言うので私は「めっちゃ速く的な」と答えました。

でも、なんだか腑に落ちない私。

自分の持っていた音楽用語辞典を引きました。

そこには"快活な、生き生きとした"の文字が。

他にも、インターネット上の辞書で調べても"活発な"の文字が。

快活?活発?vivaceって速度記号だよね?快活や活発って速度を表す単語なのだろうか…

そもそも、なんでこんなざっくり「めっちゃ速く的な」と覚えていたのか…???

ぼんやり原因が思い浮かびました。

メトロノームです!
メトロノームの中でvivaceはこんな位置。
けっこう速いです。

視覚的に速いものと捉えていました。

速けりゃ良い訳では無いのですね。

『"活発"を表現するから自然とスピードも速くなるということなのかな?』と思いました。

速度記号であっても速さだけを意識するのではなく、単語自体の意味も意識すると、理解が深まった気がしました。

※個人的な感想です


そこで。

我々が修理したり調律したり販売している"ピアノ"。

音楽記号でもありますよね、"p"で、ピアノ

音楽記号"p"の意味は何でしょうか。

皆さんご存知"弱く"ですね。

反対は"f"で、フォルテ。"強く"ですね。


さてさて、音楽用語辞典ではなく、イタリア語辞典を引いてみると"piano"は、「ゆっくり、静かに、慎重に、小声で」など。

おっと、「弱くではないのですね。

(※先程のvivaceは音楽用語と同じく「活発な」でした)

さらには、"pianopiano"で"ピアノピアーノ"「ゆっくりいきましょ」的なとても良い言葉まであるらしい。


楽譜上に"p"が出てきたら、単に「弱く」じゃなくて、「ゆっくり、静かに、慎重に、小声で」を思い出してみると良いかもしれません。

皆さん無意識にやられていますが、pを出そうとするときは鍵盤をゆっくり押してますよ。

反対に、fを出すときは速く押してますよ。

弱く弾く、強く弾くだけではないんですね。

ピアノは構造上、音の強弱は、鍵盤を弾く"強さ"=ハンマーの打弦"速度"となります。

ピアノの中の動きを想像しながらピアノを弾くと、楽器と一体になれる気がして、楽しいですよ♪
ハンマーが弦をゆっくり静かに押す様子』をイメージするとppppなんて「どんだけ弱く弾けば良いのよー!」なんて音も、悩まずにだせるかも?しれませんね。

あくまでも個人的な意見です


あまりにゆっくり、そ~~~~っと押すとハンマーが弦を打てずに脱力してしまうので発音しません。

ピアニッシモの力加減、難しいですよね。きれいなピアニッシモを出すことは私にとっては永遠の課題です…。
あ、ちなみにForteは音楽用語のまま「強く」でした。

他に激しいという意味もあるそうです。

音楽記号と元の言葉の意味、両方を考えてみるとちょっと解釈が広がると思いませんか?

さらには、その表現をするときにはピアノの中ではどんな動きがされているのか…想像してみませんか。