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グランフィールって知ってる?

グランフィールって知ってる?

みなさん、こんにちは。
三浦ピアノです。
本日は弊社でもお取り扱いしておるグランフィールについてご紹介いたします。

弊社は、一般の楽器店の中では関東圏で一番早く取り扱いを開始したお店ですので、その分取付実績も多くございます。
渋谷店に見本も展示しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【グランフィールとは…】
鹿児島県にあるピアノ店"藤井ピアノサービス"の藤井社長が考案し、2010年に実用化された、アップライトピアノに後付けできる機構です。
その名の通り、アップライトピアノにグランドピアノ並みの運動性能を与える、画期的な考案です。
日本国内だけでなく海外でも特許を取得され、2013年にはグランフィールを最初から搭載した新品のアップライトピアノ"グランフィールピアノ Gf01Wn"が発売されました。
Gf01Wnはその後モデルチェンジを重ね、現在はGf10Wnというモデル名で販売されております。
弊社では、ヤマハの背の高さ131cmのモデルにグランフィールをセットし、展示いたしております。

【アップライトピアノとグランドピアノの違いとは?】
それこそ見た目からして異なりますが、内部構造(アクションと呼びます)が大きく異なります。
~アップライトピアノのアクション模型~
~グランドピアノのアクション模型~
大きな違いとして、アップライトピアノはハンマーが縦についていて、グランドピアノは横に寝ていますね。
このハンマーの向きの違いから、運動性能に差が出ます。

ハンマーが下から上に動くグランドピアノのハンマーは、打弦後、自重で素直に下りてくることに加えて、アップライトピアノにはないレペティションレバーという部品のおかげで、ハンマーが素早く次の打弦の準備ができます。
対して、アップライトピアノは手前から奥に動くため、打った後戻ってくるのが重力を味方にしているグランドと比べて遅いのです。

そのような構造の違いから、よく言われる【同音連打】に大きな差が出ます。
1秒間にできる同音連打の回数は、グランドピアノは14回・アップライトピアノは7回です。
数字にすると倍の差になります。

弾き心地で表すならば、
グランドピアノは鍵盤を一番底まで押してから、だいたい1/3くらい、体感ではちょこっと力を抜いたくらいで同じ鍵盤を弾くこと(連打)ができます。
アップライトピアノは鍵盤を一番底まで押してから、ほぼ一番上(元の位置)まで戻さないと同じ鍵盤を弾くこと(連打)ができません。

グランドピアノの方が圧倒的に指の動きに鍵盤が追従してくれるのです。
つまりは、連打性能だけではなく、繊細なピアニッシモのコントロールのしやすさや、トリルの細やかさに差が出て、最終的にはピアノ全体の楽器としての表現力の差につながります。
同音連打の話に戻りますが、グランフィールのついたアップライトピアノは1秒間に13回の同音連打が可能と言われています。
ほぼグランドピアノと同じですね。

「先生のところのグランドピアノではできるのに、自宅のアップライトではできない…」そんな動きもグランフィールが付くと断然やりやすくなります。
それは、同音連打だけではなく、通常のアップライトピアノでは出しにくかった"ピアニッシモ以下の小さい音"が出しやすくなったり、ピアノ全体の表現力向上につながります。
鍵盤のコントロールがしやすくなるということは、演奏者の思いを音に乗せやすくなるということではないでしょうか。
それがグランフィールの最大のメリットだと弊社は考えています。



【中身はどうなっているの?】

では、一般的なアップライットピアノの中身と、グランフィール付のアップライトピアノの中身を比較してみましょう。

<1枚目:一般的なアップライトピアノ & 2枚目:グランフィール搭載のアップライトピアノ>
~一般的なアップライトピアノ~
~グランフィール搭載のアップライトピアノ~
ううーん、わかりにくいですよね……

では、拡大していきましょう。
まず、新たなバネが2種類追加されていまして、それぞれ88本(すべての鍵盤数)ずつ取り付けます。
ショット&ドロップスプリングと、レペティションスプリングといいます。

まずは、
<ショット&ドロップスプリング>
音の立ち上がりがクリアになって伸びやかに♪

ハンマー静止時→打弦時の写真です
↓(普通のピアノには付いていませんね)↓
ショット&ドロップスプリングは、ハンマーが弦に接する時間を短くするために取り付けます。

グランドピアノは下から上にハンマーが動くので、戻ってくるのは重力に従って一瞬ですが、アップライトピアノは手前から奥への動きなので、グランドピアノに比べてハンマーの戻りが遅い=弦に接している時間が長いのです。
弦に接している時間が長いと、弦の振動を阻害してしまい、倍音が発生しにくくなってしまいます
この、ショット&ドロップスプリングは、打つ瞬間にハンマーの柄の部分が当たるので、弦に当たる速度も離れる速度も上がるので、音の立ち上がりがクリアになります。

続きまして、
レペティションスプリング
素早い同音連打や、細かい表現がしやすくなります♪

ハンマー静止時→打弦時の写真です
↓(こちらも、普通のピアノには付いていません)↓
レペティションスプリングは、鍵盤(正確にはハンマー)のコントロール性をあげるために取り付けます。

こちらのレペティションスプリングは、スプリング単体で働いているわけではありません。
ただこのスプリングを取り付ければ良いのではなく、とある部品に加工を行います。
(部品への加工については、企業秘密と開発者である藤井ピアノサービスさんから言われていますので、こちらのブログでの公開はご容赦ください。)
その部品への加工プラス、レペティションスプリングの取付を行うことで、ピアニッシモ以下の繊細な音を出したいとき、細やかなトリルを正確に表現したいとき、音切れすることなくレガートで演奏したいときなど、一般的なアップライトピアノではコントロールが難しかった動きが、とてもやりやすくなります。
手の筋肉への余計な負荷もかかりにくくなります。

これらのスプリングの取付や部品への加工は、全て手作業で行いますので、構造に対する理解の深さと、取付経験の豊富さが仕上がりの良し悪しに直結します。
ただただ何も考えず台数をこなすのではなく、"それぞれのピアノに合わせた取付ができるのか?"が仕上がりのタッチ感に大きく影響します。

弊社は、関東の一般取扱店の中ではいち早く取付技術研修を受け、その分多くの取付を行ってきております。
店頭でのグランフィール付のピアノ販売だけでなく、お客様のお手持ちのピアノへのお取り付けも数多く承ってきました。
お客様の大切なピアノに手を加えることに、抵抗のあるお客様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、グランドピアノとアップライトピアノでは、構造の違いからどうしても超えられない壁があります。
こちらのブログを見つけてくださったお客様は、その壁でお悩みなのかもしれません。
「アップライトだし、仕方ないかも」「気のせいかも」と思わず、些細なことかもしれないと思っても、お気軽にご相談ください。
弊社はスタッフ全員技術者ですので、やみくもに購入を勧めるのではなく、お客様のお悩みの原因を探り、本当にグランフィールが必要なのか、お客様のお悩みはグランフィールで解消されるものなのか、きちんとお話を伺わせていただければ幸いです。
なんでもかんでも「グランフィール付けましょう!」とはお勧めしませんので、ご安心ください。
皆様のご来店を、心よりお待ちいたしております。
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東京で中古ピアノ&新品ピアノをお探しなら、三浦ピアノへお任せください♪
文京区本郷に工房、渋谷区渋谷にレンタルスタジオ併設のショールームを構え、
1925年の創業から、2025年で100周年を迎えました。
皆様のご愛顧に、深く感謝申し上げます。
ヤマハ、カワイ、ベヒシュタイン特約店、その他メーカー複数取り扱い可能♪
消音ユニット取付、グランフィール取付も承り中です。
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